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20111216 森野は見ずや

犬の散歩に行くなら断然日が落ちてからが良い。
3軒先の奥の森に行くなら暗い刻限に限る。
山の天辺にある森の中には畑と雑木林をぐるりと一周する形で
犬と人に踏みしめられた未舗装の道が通っている。

さすがに夜になると誰にも行きあわずで
煩わしさを感じることなく
黒い枝の間に広がる街の灯を見下ろしながら
薄闇に白く光る老犬を連れて練り歩く
その日その日の思いの丈を歌なんぞに乗せて歌い
その歌が空まで上昇して龍になって遠くの街まで届きそうだと空想の中で遊び
喉の調子も伸びやかに、とてもとても丁寧に歌うことが出来るのだ。
要はとても心地のいい気の発散が出来るわけで
だから私は暗い夜の森の散歩が好き。

好きだけれど森は時々怖い

日によって暗い森は
排他的だったりとても威圧感があったりする
それは人外の支配する時間と領域に踏み込むような
ある種の覚悟を問うて来ているようで
とても恐ろしい気を放っている時がある
特に森の入口が一番顕著でその迫力に圧されて
今日はこのまま引き返そうと思う日もしばしば。

されど連れている犬が頑固爺のバカイヌで
爺さんは決めたコースを変えるのが大嫌いな様子
「しょんべんたれの嫁の言うことなんか聞けるかよ」
とばかり、引き返そうと綱を引いてもテコでも動かず
コワイ森への強行を決め込む。
動物のカンというものが如何程のものかは知らぬが
爺さんは鈍っているのか強いのか、はたまた人外のモノたちと友達なのか
一向に構わぬ様子である

森はまず入って暫く左右に雑木林
その先が若干開けている。
森に入るとケモノスイッチが作動するのか
私の視力も直ぐに闇に慣れ、灯りが無くても不自由の無いくらいに歩ける。
何より、道の先には薄光りする空が木々の枝を影絵にしてとても美しい
(曇りの日の方が街の照り返しを受けて空が明るい)
犬は歩調が至極遅く、最近は牛歩よりなお遅いのではないかと思う程だ。
まるで残り少ない森との名残を惜しんでいるようにも見えて
怖いながらも犬の歩みに任せている。
特にここのところの老化と衰弱は目に見えていて
抱きかかえてやらないと階段が登れなかったり、
歩いていて急に腰が砕けてへたりこんだりで
爺さん、本当は散歩もやっとの状態である
だから、鬱蒼とした木々の影から何の気配を感じても
少し離れたところを人型の得体のしれない影が付いてきているように薄ら見えても
爺犬憐れで散歩を続行するのである

でも本当はとても怖い。
怖いのはいつの間にかこの森に閉じ込められて
私も人外のものになっちゃって、いつまでもいつまでも
遠くに広がる街の灯りを見下ろしながら
この森を周遊する羽目になったらどうしようと思うと
とても怖いぞw
第一大抵夕飯前のお散歩なのでお腹が減っている
その状態で逢魔が刻の(本当はちょっと過ぎた辺りかw)
森に取り込まれるなんてますますゴメンである。

などと心細さと妄想を胸に徘徊する私であるが
森のご機嫌が良い時でもフキゲンでも変わらず歌は歌いながら歩く。

今日も歌を歌い歌い、犬の牛歩に併せて歩いた。
私は単純なので歌っていると歌心が恐怖心に打ち克って
怖い森はいつものように私だけのナイトステージになり
越路吹雪宜しく熱烈に謡い歩いたわけだけれど

でも今日はそんな私のコートの背中の腎の辺を
「ツンツン」
と、誰かが引っ張ったのである。

あまりにハッキリした感触だったので
誰が引っ張ったのかと吃驚して振り返ったが
森の中とはいえど道の真ん中であったので
引っかかるような枝葉もなく闇慣れした私の目に映るのは
いつものようにほの暗く道が続いているばかり……。

すぐにでも帰りたくなったが、私のドびっくりにお構いなしに
爺さんは相変わらず腰を砕かせながら藪に鼻先を突っ込むばかりなので
「……邪魔しないで頂きたい」
と、悪戯のヌシに強気なことを言ってみて、歌を仕切り直して散歩を続行した。

私のコートを背後から、どなたが引いたものかはワカランちんだけど
でも、考えようによっては「生きているニンゲン」でなくって良かったかも。
時には幽霊より物の怪よりも、ニンゲン様の方が怖い時があるものね。
特にこんなヒトケのない暗い森で出会うのならば……

mori1.jpg


DSC_0198.jpg


DSC_0330.jpg
 

*写真は夜の森の写真・本日の森は一枚目の写真
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プロフィール

みーや

Author:みーや
主に時代物、時代官能系を描くイラストレーター。
ペンネームは「とやまみーや」

仕事の様子など、普通に日常の日記や漫画。
A型なんだけれど生き様はほぼアバウトなのだ。
なので日記の更新も、アバウト……。

三浦誠衛流居合道3段
江戸検定2級

日本文芸家クラブ理事
日本出版美術家連盟会員
日本漫画家協会会員
歴史時代作家クラブ会友

とやまみーやのホームページはコチラ
(リンクからもどうぞ!最近更新してないですけど・汗)
http://omiyaepiqri.web.fc2.com/

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